
私は仕事以外では“記録”の為に写真は撮りません。カメラマンというのは仕事柄ですが、常に周りの景色に意識を張っています。張っているというか、常に景色を切り取っていく感覚というのが近いかもしれません。人間の目と言うのは超高性能でいて曖昧なレンズです。人間の目は常に嘘をついていて、“普通であろう”と補正をかけています。色温度の差、光量の差、色彩の差などをリアルタイムで平均的にならしているのです。また意識的(ソフト的)にズームイン、アウトも出来るのでこれほどに強力なレンズシステムはおそらくまだ機械としては作れないでしょう。またそれが二つもありますしね。
逆に、カメラのレンズはどうなのかというと、カメラは嘘はつけないんですね。
明暗の差、色温度、画角、すべてを平均にならすことは出来ないのです。もちろん現在の様にソフトで後から補正をかける事はできますが、生のデータは世界をありのままに写しているのです。人間の目より真実に近い。暗いものは暗く、暗い対象を明るく撮るには明るい対象を犠牲にしないと撮れない。人間や他の動物、それぞれ目の仕組みは違うので、それぞれから見ている世界は全く違っていて、でもヒトはそれを一つの世界と見ています。